【1日目のつづき】
明石経由で姫路へ!金魚三都物語 0話の続きです。
姫路に到着した@まつやま家。
娘らのターゲットは、サファリパークなどがある、
「姫路セントラルパーク」。
ただ、道中に一軒、私が寄ってみたいところがあったので、
先方にはご迷惑かと思いましたが、
家族で押しかけました。
訪問先は南澤らんちゅう園。
「夢らんちゅう」 というサイトで、
らんちゅうを販売されてるので、
ご存じの方も多いかもしれません。
南澤らんちゅう園は、
姫路市南東部の東山地区にありました。
住宅街というより「集落」といった趣。
付近には古くて大きい民家もありました。
車庫を抜けると、そこはタタキ池。
手入れが行き届いてるのが分かります。
突然の訪問にも関わらず、
南澤さんと奥様は快く迎えてくれましたヽ(´ー`)ノ
南澤さんは今年3月に大病をされたそうで、
復帰したばかりのご様子。
しかし、いったん話し始めると
マシンガンのように熱く語ってくださり、
体調を心配した奥様が途中で遮るほど…
池の大半は当歳魚。
かわいいチビ宇野らんちゅうがいっぱい泳いでました。
単にカワイイだけでなく、小さいのにらんちゅうの特徴を
すでにしっかり持っている仔が多く、驚きました。
ただ・・・それ以外にも、一目見た瞬間から、
言葉にできない「何か」を
タタキの中に感じてたのですが、
そこは、らんちゅうも宇野系も素人の@まつやま。
「なんだろ???? いつもなら感じない何かがある…」と思いつつ、
らんちゅうを見せてもらいました。
ちなみに娘らは、
らんちゅうよりワンちゃんに夢中でしたヽ(`Д´)ノ
当歳が気持ちよさそうに泳いでました。
人を見るとサッと寄ってくるらんちゅうたち。
愛情を込めて育てられてるのがよく分かります。
なんとなく、ですが。
私の「言葉にできない何か」ってのは、
金魚の統一感?
ん~、でも大きさは揃ってても、
柄はいろいろいるし…
@まつやまの感じた「何か」の
答えは文末に(笑)
そもそも宇野らんちゅうに関して、
まったく知識がない@まつやま。
京都の陶芸家の宇野仁松氏(1901~1983年)が確立した系統で、
京都筋と呼ばれたり、宇野系と呼ばれたり・・・
協会系らんちゅうより小ぶりだけど頭が立派!
ぐらいしか知りませんでした(゚Д゚;)
「今は良い親がおらんから」と、
部屋に貼られたらんちゅうの写真を見ながら、
南澤さんに解説していただき、
頭の中が少しだけ整理できました。
以下、金魚初心者の私なりに理解した宇野系らんちゅう。
小さいことが特徴と言われる宇野系らんちゅうは、
小さく育てるのが目的ではなく、
「芸術作品」として完成度を上げるために、
全体のバランスを優先し、
「結果として小ぶり」の仔が多い、ってことかと。
発達した各パーツが調和し、きめ細かく上品な魚を追求し、
美しい更紗のらんちゅうとして4歳、5歳で華開く…
宇野仁松氏は「ずっと良くなり続ける金魚」を
目指されていた、とのこと。
「何年か経つと、自然とこういう(写真のような)仔になる…
そして死ぬまで良くなり続ける。
それが良いらんちゅうですよ」
見せていただいた写真のらんちゅうは、
兜巾(帽子のような頭に乗った肉瘤)、
ふんたん(顔の前のモコモコ)がグッと発達した、
迫力のある魚でした。
でも、決して「でっかけりゃOK」な肉瘤ではなく、
可愛らしさも兼ね備えてる…といった風情。
この「カワイイ」が宇野系の大きな特徴の一つかもです。
南澤さんも何度も「カワイイ」という言葉を使ってらっしゃいましたし、
会で競う仔、見て楽しむ仔、
双方ともに同じ価値を見出してらっしゃるように感じました。
協会系らんちゅうにも可愛さはありますし、
宇野系らんちゅうにも迫力はあります。
それは前提として・・・
大雑把な素人の理解としては、
発達した肉瘤と背ビレの無い背中、
らんちゅうのその姿に力強さを感じた人たちは
協会系らんちゅうを発達させていき、
可愛らしさを感じた人たちが、
宇野系らんちゅうを発達させていった…ってことなのでしょう。
若い時から宇野氏の自宅に頻繁に赴き、
25歳で自ら立ち上げた愛好会に招き、
直接接して来られたという南澤さん。
その言葉には重みがありました。
宇野仁松氏といえば、
私のような浅学の金魚初心者でも、
いやという程名前を見聞きする機会が多い、
らんちゅう界の巨星。
仁松氏から直接薫陶を受けた人に、
@まつやまが会って、話してる・・・というのが
なんだか不思議な気分でした(笑)
・・・なんか、ホントすみません。
私ごときが宇野系らんちゅうを語るべきじゃないのは、
重々承知しております。
書いてて脂汗が(´;ω;`)
さて。
そういう知識を教えていただいたうえで、
再度、タタキを覗きこんでみました。
親魚の池です。
なるほど、非常にきめ細かい鱗を持ち、
頭が発達し、鮮明な更紗ですね。
しかし、この上の2枚の写真、
まったくらんちゅうの体型が違うんです。
隣あった池なんですけど。
明らかに上の仔たちは長く、
下の写真の仔は丸い。
@まつやまは下の仔たちがスキですねヽ(´ー`)ノ
南澤さんに「どっちも宇野系ですよね?」と尋ねたところ、
宇野仁松氏は何種類もの体型のらんちゅうを
飼って維持していたとの逸話を教えてくだりつつ、
「うちでは2種類がやっと、だけどね」と南澤さん。
南澤さんのらんちゅうは、
宇野系の重鎮だった宇田川英雄氏(故人)の
系統を維持されておられるそうですが、
特に丸っこい仔たちは、宇野仁松氏が宇田川氏に託され、
改良してきた仔たち・・・秘蔵のらんちゅう、って感じでしょうか(゚Д゚;)
「金魚に詳しくない人が見てもカワイイと思える」と
南澤さんがおっしゃる通り、
私はこういうらんちゅうは初めて見ましたし、
素直にカワイイと思いました。
この写真はたまたま、
丸っこい仔たちがフォーメーションを
組んでるように撮れたのですが(笑)
ここに、私が感じながら説明できなかった「何か」の答えがありました。
南澤さん曰く、宇野系では「池面(いけづら)」という
言葉を大切にするんだそうです( ゚Д゚)
1尾1尾の美しさも、もちろん大切。
同時に、池全体で受ける印象・・・池の表情、とでも言うべきでしょうか。
それもすごく大切なのだそうです。
池をぱっと見て、キレイだと思えるように・・・というのは、
芸術家だった宇野仁松氏ならではの教え、と言えるかもです。
卑近な例でいえば、
私でも琉金を入れた水槽で、
金魚の色の組み合わせとかは考えますもんね。
とても、芸術的とは言えないレベルでしか実現できてませんけど(笑)
でも、らんちゅうの世界でもそういう概念があるというのは、
非常に驚きでした。
南澤さんは池面を意識して、タタキ池の編成を考えておられるのを、
私が「なんとなく、何かある」と感じた、ってことのようです。
それにしても・・・
会で賞を競う金魚を創るという「競争」と、
永く金魚を「見て楽しむ」という思想を、
同時に実現しようとした仁松翁は、
もしかしたら、すごく欲張りな人だったのかもしれないな、と
勝手に思ったりしました(゚Д゚;)
さてさて。
南澤さんは、若い時から会を立ち上げつつ、
そこを離れ、今は3つ目の会で活動されてるとのこと。
プロレス・格闘技の世界でいえば、
佐山サトルのような風雲児、なのでしょうか(笑)
でも、短い間でしたが、お話させていただいてて、
らんちゅうに対する強い情熱を感じましたし、
奥様ともども、うちの子どもをすごく可愛がってくださいました。
そして、私のようなド素人に、
丁寧にいろいろ教えていただき、
本当にありがとうございました。
宇野仁松・宇田川英雄、両氏の
素晴らしい魚と、思想を後世に伝えていってほしい、と
門外漢ながら強く思いました。
また機会があればおじゃましますヽ(´ー`)ノ
お体、ご無理なさりませんよう。
・・・南澤らんちゅう園を辞した後は、
嫁と娘を姫路セントラルパークに送り、
私は車で単独行動。
夕方に待ち合わせすることにして、
姫路の街をウロウロ・・・
もちろん、目当ては金魚ですw
にほんブログ村
2012年11月8日訂正:
大阪らんちゅうが好きの背番号17番さんからの指摘で、
宇野仁松氏の生年を1901年に訂正しました。
ご指摘に感謝しますとともに、
故人の生年を誤記いたしましたことにお詫び申し上げます。